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専門業務型裁量労働制とは

 専門業務型裁量労働制は、みなし労働時間制のひとつですが、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務について、その業務に従事する労働者は労使の間で合意して定めた時間だけ働いたものとみなしましょうという制度です。

 対象とすることができる業務は厚生労働省令で定められていますが、現在19 種類の業務(注)となっています。たとえば、新商品・新技術の研究開発、新聞・出版等の記事の取材・編集、システムコンサルタント、情報処理システムの分析・設計、デザイナー、コピーライター、証券アナリストや弁護士、公認会計士、税理士等の業務、大学での教授研究などです。いずれも専門性が高く、その業務に従事する人が仕事の進め方や求められている結果を一番よく知っているという性質の業務です。

 この制度を適用するためには、労使間で書面の協定書を締結し、対象業務、みなし労働時間、協定の有効期間などを決め、就業規則にもその旨を規定するとともに、労働基準監督署に届出をします。みなし労働時間として、所定労働時間を超える時間を規定した場合には、その業務に従事する人に一律で一定の時間外労働が発生することとなります。平成15年の労働基準法改正(平成16年1月施行)で、労働者の健康・福祉確保措置、苦情処理措置、およびこれらに関する記録の保存も協定に織り込むことが求められるようになりました。これらは従来から企画業務型裁量労働制には規定されていた措置です。

 専門業務型裁量労働制を導入する上では、対象業務とみなし時間についての合意が最大のポイントですが、その他に次のような疑問が必ず出てきます。

  1.   1.業務上の指揮命令や報告はどうしたらいいのか
  2.   2.出退勤時間などの労働時間の把握は必要か、自宅で仕事をしてもいいのか
  3.   3.休日出勤や深夜労働の場合はどうするのか
  4.   4.適用するのに本人の同意が必要なのか

などです。専門業務型裁量労働制は、業務遂行の手段や方法、時間配分等を労働者の裁量にゆだねるのが合理的であるとして労使が合意し、みなし労働時間を定めるというだけですから、就業規則は依然として有効に働いていますし、業務の目的や前提条件を説明し、それに対する進捗報告等を受けることは当然必要です。にもかかわらず、こうした疑問が出てくる背景には、裁量労働制が成果主義を形にしたものであるかのように誤解されていることがあるように思われます。

 裁量労働制を導入した例を拝見しますと、社員はかならずしも成果主義的な考え方のほうに行かずに、むしろ労働時間がクローズアップされ、自分の業務内容に照らして、みなし労働時間が妥当かどうかを考えるようになってしまうケースがあります。処遇制度などの運用がうまくいっていないと、裁量労働制ゆえのモラルハザードが起き易いということがいえるようです。

 いったん裁量労働制を導入したとしても、裁量労働という名にふさわしい仕事なのかどうか、みなし労働時間が適正であるのかどうかをレビューしつづけることが必要です。そのためには、裁量労働制の業務に従事している人について単に仕事の結果だけを評価するのでなく、業務プロセスのあり方や仕事の質について評価をし、処遇に反映させていくことにより、初めて裁量労働制の真価が発揮されるのではないでしょうか。

(注)労働調査会編「決定版 03改正労働基準法」による。

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