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消費税はじわりと課税強化へ…平成23年6月の税制改正

平成23年6月税制改正

 平成23年6月22日に成立した税法等の改正(正式名称は「 現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律」といいます。)の中で、消費税に関する重要な改正がなされました。事業者免税点の基準と、仕入れ税額控除の方法に関するものですが、将来の税率引き上げも見越して、課税漏れを減らそうという姿勢が現れています。

1.事業者免税点制度の見直し

現状の免税点制度

 消費税については、2年前の売上高が1000万円以下の事業者は納税義務が免除されています。これが、事業者免税点制度といわれるものですが、正確にいいますと、「事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下であるものについては、・・・消費税を納める義務を免除する。」(消費税法第9条)と規定されています。

 課税期間は、個人事業者は暦年、法人は事業年度です。そして、基準期間は課税期間の前々年および前々事業年度です。

 例外がいくつかありますが、重要なのは新設法人(基準期間がない法人)です。事業年度開始の日における資本金の額が1000万円以上の法人は事業者免税点制度が適用されません。個人事業者と資本金の額が1000万円未満の法人は、基準期間がない課税期間は免税事業者です。

 また、相続、合併、分割の場合についても、特別の定めがあります。課税事業者を選択した事業者も事業者免税点制度は適用されません。

基準期間の課税売上高は、その期間が免税であれば税込売上高、課税であれば税抜売上高です。返品、値引き、割戻しなどの金額を差し引きますが、貸し倒れになった金額は控除しません。

 政府税制調査会の中で、人材派遣会社が2年ごとに子会社を新設し、その子会社を使って人材派遣をすることによって事業者免税点制度を「悪用」している例が挙げられました。

今回の改正

 今回の改正では、基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合であっても、次に掲げる期間(以下「特定期間」という。)における課税売上高が1,000万円を超えるときは、事業者免税点制度を適用しないことになりました。
 ① 個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの期間
 ② その事業年度の前事業年度がある法人の当該前事業年度開始の日以後6月の期間
 ③ その事業年度の前事業年度が7月以下である法人の場合には、その事業年度の前々事業年度(その事業年度の基準期間に含まれるものその他一定のものを除く。)開始の日以後6月の期間(当該前々事業年度が6月以下の場合には、当該前々事業年度開始の日からその終了の日までの期間)

 つまり、基準期間の課税売上高が1000万円以下であっても、その次の期間の最初の6ヶ月の課税売上高が1000万円を超えている場合には、課税事業者になります。

 なお、この6ヶ月を「特定期間」といいますが、この特定期間に、個人事業者又は法人が特定期間中に支払った給与等の金額に相当するものの合計額をもって特定期間における課税売上高とすることができるとされています。つまり、課税売上高または給与等の額のいずれか少ない額をもって判定ができるということです。

 この改正は、平成25年1月1日以後に開始する年または事業年度について適用されます。したがって、最初は、個人事業者の場合平成24年の前半、法人の場合は平成24年1月以後に開始する事業年度の最初の6ヶ月の売上高が分かれ目になります。改正の経緯は中小企業をターゲットにしたものではないといわれますが、新設法人が1年早く課税事業者になるケースは確実にふえるでしょう。

2.課税売上割合が95%以上の場合の仕入れ税額控除

現在の制度

 消費税は、売上げについて預かった消費税額から仕入れについて支払った消費税額を差し引いて納付する仕組みになっていますが、仕入れについて支払った消費税額を差し引くことを仕入れ税額控除といいます。預かった消費税より支払った消費税のほうが多い場合には、消費税額の還付を受けることができます。

 控除できる仕入れ税額の計算にあたり、対象となる仕入れは課税売上のための仕入れとするのが原則ですが、現在は、課税売上割合が95%以上の場合には仕入れに要した消費税額を全額控除できることになっています。(消費税法第30条①)一方、課税売上割合が95%未満の場合には、一定の方法で課税売上割合を使って按分計算して仕入れ税額控除の額を計算します。つまり、仕入れ税額のうち控除できない額があるということです。

 もちろん、免税事業者の場合には仕入れ税額控除はできません。

今回の改正

 課税売上割合が95%以上の場合に課税仕入れ等の税額の全額を仕入税額控除する制度については、その課税期間の課税売上高が5億円(その課税期間が1年に満たない場合には年換算)を超える事業者には適用しないこととされました。

 つまり、課税売上高が5億円を超える事業者は、課税売上割合が95%以上であっても、原則どおり、課税売上げのための課税仕入れに限って仕入れ税額控除を計算するということになり、仕入れ税額控除の額が少なくなることになります。この改正により、大企業を中心に、かなり納税額が増えるとみられています。

 この改正は、平成24年1月1日以後に開始する課税期間から適用されます。

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