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印紙税Q&A: 収入印紙を貼るのはなぜ?

Q1. なぜ印紙税が課されるのですか

A1. 印紙税に関する政府の見解は次のようなものです。

 「印紙税は、経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求める文書課税である。」(平成17年第162国会櫻井参議院議員の質問に対する小泉総理の答弁書)

 つまり、文書を作成することで取引が明確になり、法律関係が安定するというメリットがあるので、税金を負担してほしいという趣旨です。

 印紙税は17世紀にオランダで戦費調達のために考案されたとされ、日本でも明治時代に導入されました。そして、課税される20種類の課税文書を定めて、200円から60万円の範囲で課税することになっています。

Q2. どういう文書が印紙税の対象になりますか

A2. 印紙税が課税されるのは、印紙税法別表第1(「課税物件表」といいます。)に規定されている20種類の文書で、非課税文書に該当しないものです。

 主な課税文書としては、不動産などの譲渡契約書、土地の賃借権の設定又は譲渡契約書、金銭消費貸借契約書(以上は1号文書)、請負に関する契約書(2号文書)、約束手形、為替手形(3号文書)、株券、出資証券、社債券など(4号文書)、定款(6号文書)継続的取引の基本となる契約書(7号文書)金銭又は有価証券の受取書(17号文書)などがあります。

 この20種類に該当しない文書は不課税文書です。

 20種類の文書であっても課税されないのが非課税文書ですが、非課税文書には次の4つがあります。通常は①を考えれば良いでしょう。
① 課税物件表の非課税文書の欄に記載されている文書
(例えば、17号の領収書で、金額が3万円未満【平成26年4月以降は5万円未満】のもの)
② 国、地方公共団体または印紙税法別表第2に掲げる者が作成した文書
(例えば、信用保証協会などの公益法人が作成した文書)
③ 印紙税法別表第3に掲げる文書で、同表に掲げる者が作成した文書
(例えば、労働保険料や国民健康保険料の受取書)
④ 特別の法律により非課税とされている文書
(例えば、健康保険法、日本年金機構法などに規定されている文書)

 課税文書に該当するかどうかは、文書の名称や形式ではなく、実質的な内容で判断することとされています。例えば、請求書であっても、そこに代金を受領した旨とハンコがあれば、課税文書である領収書になります。
 また、文書を全体として判断するのではなく、記載事項を個別に検討して、その中に1つでも課税事項があれば課税文書になります。

Q3. 課税文書の2つ以上に該当する場合は、どれになりますか

A3. 課税文書が課税物件表の何号文書に該当するかによって税額が変わってきますので、その文書の判定は非常に重要です。課税事項が1つだけ記載されている場合はその事項によって判定すれば良いわけですが、2つ以上の事項が記載されている場合には、判定が必要になります。

 例えば、不動産と売掛債権の譲渡契約書(1号と15号に該当)、機械の製作請負とその機会の運送の契約書(2号と1号に該当)、請負工事の内容と代金の受領事実を記載した契約書(2号と17号に該当)などが考えられます。

 この場合には、2件分の収入印紙を貼るのではなく、どちらの文書に該当するか判定をして、その文書としての税額を納めます。基本的には、号数の少ない方の課税文書になります(2号と17号であれば2号文書となる)が、例外もいろいろあります。例えば1号文書と2号文書に該当する場合は1号文書ですが、2号についての契約金額の方が大きい場合には2号文書となります。

 実務上重要なのは、継続取引の基本となる契約書(7号)の判定です。1号または2号文書であって、同時に7号文書に該当するものがあります。この場合、1号または2号の契約金額の記載があるときは、1号文書または2号文書となりますが、契約金額の記載がないものは7号文書になります。そうすると印紙税額は200円ではなく4,000円となります。

 この判定の詳細は、「印紙税法別表第1課税物件表の適用に関する通則」および「印紙税法基本通達」に規定されています。

Q4. 印紙税の納税義務があるのは誰ですか

A4. 印紙税は、課税文書の作成者に納付義務があります。2人以上の者が共同して作成した場合には、その2人以上の者はその課税文書に関する印紙税を連帯して納付する義務があります。

 法人の役員または従業員がその法人の業務または財産に関して作成した文書については、その法人が作成者になります。

 委任に基づく代理人が、委任事務の処理に当たって作成する課税文書については、代理人名義で作成する場合は代理人が作成者となり、委任者の名義のみが記載されている場合は、その委任者が作成者となります。

Q5. 印紙税の納税義務はいつ発生しますか

A5. 印紙税の納税義務は課税文書を作成した時に成立します。作成とは用紙などに課税事項を記載し、これをその文書の目的に従って行使することです。

Q6. 収入印紙を貼り付ける以外に、どういう納付方法がありますか

A6. 印紙税の納付は、原則として収入印紙を課税文書に貼り付ける方法で行います。この場合、単に貼り付けただけでは納付したことにならず、収入印紙と文書にかけて印章または署名で「消印」をしなければなりません。

 このほか、印紙税の特例納付方法が4つあります。
 ① 税印押なつによる納付
 税務署に行って金銭で納付した上で税印を押してもらうことができます。
 ② 印紙税納付計器による納付
 所轄税務署長の承認を受けて印紙税納付計器を設置し、その計器で納付印(スタンプ)を押すことができます。金銭をあらかじめ納付し、その金額の範囲で納付印を押すことができます。
 ③ 書式表示による納付
 所轄税務署長の承認を受けて、課税文書に所定の書式で表示をすることができます。「印紙税申告納付につき税務署承認済」という表示です。この場合には、毎月その月中の印紙税納税申告書を作成し、良く月末までに申告納付します。
 ④ 預貯金通帳等に係る一括納付
預貯金通帳等について納付する印紙税については、4月1日現在の口座数などに基づき4月中に申告納付することができます。

Q7. 消費税額は課税金額に含まれますか

A7. 消費税および地方消費税の金額(「消費税額等」といいます。)が区分して記載されている場合は、その消費税額等の金額は記載金額に含めないこととされています。

 消費税額等が区分して記載されている場合または税込価額と税抜価額が記載されているため消費税額等が明らかな場合はこれに該当します。

 消費税額等のみを受領した場合の領収書は記載金額のない領収書(17号文書)となり、3万円以上【平成26年4月以降は5万円以上】であれば印紙税額は200円です。

Q8. 物品の売買契約書は課税文書ですか

A8. 物品売買の契約は、継続する売買契約で7号文書(基本契約書)になるものを除き、課税されません

 継続する2以上の売買取引について、目的物の種類、数量、単価、支払い方法等(のいずれか)を定めた契約書は7号文書に該当し、4,000円が課税されます。この場合でも、契約期間を3か月以内とし、かつ更新の定めをしないものであれば7号に該当せず、不課税文書です。

 物品の売買なのか、あるいは請負なのか判断が難しいケースもあります。カタログに記載した商品を、注文を受けて製造し納品する場合は売買です。紳士服の仕立ての受注は請負であり、既製服の受注は売買ですが、イージーオーダーや寸法直しを伴う受注は請負を含んでいますので、2号の課税文書に該当します。売買の部分と請負部分の金額を分けて記載すれば、請負金額によって印紙税額を決定することができます。

Q9. 2号文書の請負とはどういう契約ですか

A9. 請負とは、当事者の一方(請負者)がある仕事の完成を約束し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を支払うことをいいます。仕事の完成と報酬の支払いが対応していることが特徴で、仕事が完成しなければ、それが請負者の責任であるか否かにかかわらず、対価を支払う必要はないという性格のものです。
 したがって、仕事が完成するか否かにかかわらず報酬が支払われる契約は請負には該当しません(委任契約であることが多いでしょう。)

 請負の目的物は、建築物、建造物、船舶や機械の製造・修理、洋服の仕立てのような有形のもののほか、シナリオの作成、音楽の演奏、出演、講演、建物の清掃のような無形のものもあります。

 請負には、見積書、発注書、注文請書、納品書、検収書、請求書、領収書という文書が伴います。このなかで2号文書になるのは一般的には注文請書ですが、発注書に、見積書に基づく申込みであることが記載されている場合や発注書に請負者の記名押印があるものなどは請負契約書として2号文書になることがあります。

Q10. 7号の継続的取引の基本となる契約書とはどういう契約書ですか

A10 売買契約基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書、銀行取引約定書などは7号文書として4,000円が課されます。

 正確には、7号文書は次のすべての要件を満たすものです。
(1)営業者の間における契約であること
(2)売買、売買の委託、運送、運送取扱いまたは請負のいずれかに関する契約であること
(3)2以上の取引を継続して行うための契約であること
(4)2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法または再販売価格のうち1つ以上の事項を定める契約であること
(5)電気またはガスの供給に関する契約でないこと

Q11. メールやファイルのやり取りで取引を行う場合、印紙税は不要ですか?

A11. 発注や請負を電子メールで行い、書面の契約書を作成しない場合や、領収書をPDFなどのファイルで渡す場合、あるいは契約書をファックスでやりとりする場合には、課税文書が作成されませんので、印紙税はかかりません

 ただし、契約書を電子メールに添付して送った後、これをプリントして、正本として、相手に交付した場合には課税文書になることがあります。単にプリントして保存するだけであれば課税文書にはなりません。

 なお、消費税法や法人税法などに関連して書面の保存が必要になるケースも考えられますので、注意が必要です。

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