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消費税が上がると医療費が上がります-非課税制度のウソ-

非課税制度

 住宅家賃、社会保険診療費、学校の授業料などは消費税が非課税になっています。そのほか介護保険サービス、社会福祉事業、お産費用、学校の教科書も非課税です。これらとは目的がが違いますが、土地の売買や貸付け、有価証券の売買、金利や利息、行政手数料も非課税です。非課税といわれると消費の負担が少ないというイメージがあり、ある種の誤解が生まれます。

 平成24年11月6日の日本経済新聞夕刊に「らいふプラス『消費税 どれだけ負担増?』」という記事が掲載されましたが、日経新聞でさえ非課税制度を誤解していることが明らかになりました。

 記事のポイントは、消費支出の中には消費税がかからないものもあるので、一律に負担が増えると考えるのは間違いである、例えば、健康保険が適用される医療費には消費税がかからない、医療費など非課税分野は税率引き上げを理由に価格引き上げはできない、ということでした。

非課税商品には消費税が転嫁されている

 消費税には仕入税額控除の仕組みがあることは良く知られている通りで、事業者が消費税を申告・納付するときには、売上に対して預かった消費税から仕入や経費に含まれる消費税を控除して納付税額を計算して納付します。ここで、重要なことは、非課税の商品やサービスの売上げに関しては仕入税額控除ができないということです。

 非課税である住宅家賃を売上げとしている賃貸事業者は、住宅購入のときに負担した消費税や不動産管理会社に支払った管理経費にかかる消費税を控除できません。また、社会保険診療をしているクリニックは医療設備や消耗品などにかかっている消費税を控除できません。
 したがって、住宅賃貸事業者は、仕入れに要した消費税を住宅家賃から回収するほかはありません。クリニックは、消費税を社会保険診療報酬の中で吸収していかないといけないわけです。

 その結果として、非課税の商品やサービスの価格には消費税分が転嫁されることになります。そのため、消費税率が上がるとそれに応じて、非課税商品やサービスの価格もあがることが予想されます。もちろん、非課税商品を販売する事業者の付加価値部分には消費税負担が生じませんので、課税商品に比べて転嫁される消費税の割合は少ないはずですが、消費税値上げ分は転嫁されるはずです。そしてこの転嫁自体は非難されるべきではありません。

消費税率引き上げで社会保険診療報酬も引き上げ

 以下の条文は、平成24年6月の国会で成立した消費税引き上げのための法律の抜粋ですが、その第7条第1項トには、この診療報酬のことが書いてあります。

【引用】
社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律

 第7条(税制に関する抜本的な改革及び関連する諸施策に関する措置)

 第1項ト 医療機関等における高額の投資に係る消費税の負担に関し、新たに一定の基準に該当するものに対し区分して措置を講ずることを検討し、医療機関等の仕入れに係る消費税については、診療報酬等の医療保険制度において手当をすることとし、医療機関等の消費税の負担について、厚生労働省において定期的に検証を行う場を設けることとするとともに、医療に係る消費税の課税の在り方については、引き続き検討する。
【引用終わり】

 医療機関の消費税負担が増えるのでこれを医療保険制度において手当てするとされており、これは社会保険診療報酬を引き上げますということです。実際、前回の消費税引き上げのときにも診療報酬の引き上げが行われました。

 これが、消費税の非課税制度の本質であると思います。非課税制度は、確かに消費者の負担を軽減している面はありますが、けっして消費税の負担をゼロにするものではありません。もし、理論上ゼロにしたいのであれば、輸出免税と同じようなゼロ税率にしなければなりません。

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