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こばやしひでおのうんちく情報

中小企業だからできること

 税法では中小企業に限って認められている制度や特例があります。したがって、増資などの際には資本金がいくらになるのか、株主構成がどうなるのか、それによって税負担が変わってくるということに注意する必要があります。

 中小企業であるかどうかの判定は、まず、資本金または出資金の額によります。資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人が中小法人です。これに対して、資本金・出資金が1億円超の法人を大規模法人といいます。
(なお、資本または出資を有しない法人や社団法人、法人格のない社団は中小法人と同様に取り扱われることが多いので、これらも含めて以下では中小法人等といいます。)

 なお、資本金が1億円以下であっても、資本金の額が5億円以上の法人や相互会社等の100%子会社には、ここに記載してある中小企業の特例は適用されないこととなりました。
また、100%所有関係にあるグループ内の複数の大規模法人に発行済株式の全部を保有されている法人にも中小企業の特例は適用されません。

 そのほか、100%子会社でなくても、大規模法人の子会社や関係会社については認めていない特例があります。中小法人であって大規模法人の子会社・関係会社でない法人を中小企業者といいます。
 次の法人は中小企業者とされないので、「中小企業者等」と書いてある規定は適用されません。
 ①発行済株式等の2分の1以上が同一の大規模法人に所有されている法人
 ②発行済株式等の3分の2以上が複数の大規模法人に所有されている法人

法人税における制度・特例

貸倒引当金について法定繰入率の適用

 法人(*)が期末に保有する金銭債権については、過去の貸倒れ実績率を使って繰入限度額を計算して貸倒引当金繰入を行うことができます。このときに、期末資本金額が1億円以下の中小法人は、過去の自社の貸倒れ実績率ではなく、税法が定めた繰入率を使って繰入限度額を計算することができます。これは選択ですから有利な方を選ぶことができます。

【法定繰入率】

  • 卸・小売業 1.0%
  • 割賦小売業 1.3%
  • 製造業 0.8%
  • 金融保険業 0.3%
  • その他 0.6%

(*)平成23年度税制改正により、貸倒引当金制度の適用は銀行、保険会社その他これらに類する法人および中小法人等に限定されることとなりました。制度が適用されなくなった法人については、経過措置として、平成24年度から平成26年度に開始する事業年度について、従来の繰入限度額の一定割合までの繰り入れが認められています。

特定同族会社の留保金課税の対象から除外

 一人の株主が発行済み株式の50%超を保有する特定同族会社については、通常の法人税に加えて、所得のうち税金や配当等を除いた内部留保(「留保金額」といいます。)に対して法人税が課されます。ただし、資本金額が1億円以下の中小法人はこの留保金課税の対象外とされています。

交際費の損金算入

 交際費は、会社の経費ではあるものの、法人税の計算上は原則として損金の額に算入できないこととされていましたが、平成26年度の税制改正で交際費のうち接待飲食費の50%相当額までは損金算入が認められることになりました。

 これとは別に、中小企業については、従来から年600万円までの交際費について、90%の損金算入か認められていましたが、これについても平成25年度から年800万円までは全額損金算入できることとなりました。

 つまり中小企業は、①年800万円まで損金算入するか、②飲食費の額の50%相当を損金算入するか、どちらか有利な方を選択できます。

欠損金の繰越控除

 法人税の計算上課税所得がマイナス(「欠損金」といいます。)になった場合には、その事業年度の法人税額はゼロとなり、さらに青色申告法人であればその欠損金を翌年以降に持ち越して翌年以降の課税所得を減らすこと(「繰越控除」といいます。)ができます。

 欠損金の繰越控除によって翌年以後の所得から差し引くことができる金額は、大法人の場合はその事業年度の所得の60%(*)が限度ですが、中小法人等の場合は全額を控除することができます。つまり、中小法人等の場合は、繰越控除によってその事業年度の課税所得をゼロにすることが可能ということです。

 欠損金を繰り越すことができる期間は、平成29年4月1日以後に開始した事業年度において生じた欠損金は10年間です。平成29年4月1日前に開始した事業年度において生じた欠損金については9年間(平成20年4月1日前に終了した事業年度の欠損金については7年間)です。

(*)平成29年4月1日から平成30年3月31日までに開始する事業年度については55%、平成30年4月1日以後に開始する事業年度については50%となる。

 

欠損金の繰戻還付

 欠損金の繰越控除とは逆に、前年度分として払った法人税を返してもらうことを欠損金の繰戻し還付といいます。
繰越控除に比べると、繰戻し還付の場合は税金が還付されますので資金繰り上大変に有利です。

 繰戻し還付はこれまでは創業5年以内の中小企業とか、会社が解散等した場合とかに限定して認められましたが、今回の不況への対応として、中小法人等の平成21年2月1日以後に終了する事業年度について適用されることとなりました。

軽減税率

 法人税の基本的な税率は23.4%(*)ですが、中小法人については所得のうち年800万円以下の金額については税率を19%としています。さらに平成24年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度については、この軽減税率が15%に引き下げられています。基本の税率と比較すると最大84万円の軽減です。

(*)平成30年4月1日以後に開始する事業年度については23.2%となります。

中小企業者等の少額減価償却資産の特例

 中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得等して事業供用した場合において、取得価額相当額を費用として経理処理したときはその金額を損金算入します。
 ただし、損金算入できる金額は、事業年度ごとに合計300万円が限度です。

 従って、減価償却資産の取得価額に応じて以下のような取り扱いを選択できることになります。
  ①10万円未満 ・・・損金算入
  ②10万円以上20万円未満   ・・・一括償却または中小少額(上記)
  ③20万円以上30万円未満   ・・・減価償却または中小少額
注意しなければならないのは②の場合で、一括償却を選択した場合は固定資産税の対象外になりますが、中小少額減価償却資産は固定資産税の課税客体ですので、固定資産税を含めてどちらが有利かを判断する必要があります。

特別償却・特別控除

 法人税では政策的な見地から事業供用資産の特別償却や特別控除、一定の費用の特別控除が認められています。特別控除は、法人税額から特別控除額を差し引く制度です。

 この特別償却、特別控除のうち中小企業者等に限って認められている制度には以下のようなものがあります。

  • 試験研究費の特別控除 (控除額の優遇)
  • エネルギー需給構造改革推進設備等の特別控除 (特別償却はすべての青色申告法人)
  • 特定機械装置等の特別償却、特別控除(*)、リース税額控除
  • 特定の事業基盤強化設備の特別償却(*)、特別控除(*)、リース税額控除(*)
  • 情報基盤強化設備等のリース税額控除
  • 教育訓練費の特別控除

(*)は資本金が3千万円未満の特定中小企業者に限ります。また、特別償却・特別控除は青色申告をしていることが条件になります。

法人住民税

 法人住民税では、法人税額を課税標準とする法人税割の計算で、資本金が1億円以下かつ法人税額が1千万円以下の法人については税率が軽減されています。

均等割額においては、資本金等の額と従業者数の区分で税額が異なりますが、この「資本金等の額」は資本金の額ではなく、資本金額と資本積立金額(資本準備金など法人税法によって計算される金額)の合計額ですから、注意が必要です。

法人事業税(外形標準課税の問題)

 法人事業税は、一部の業種(*)を除いて、各事業年度の所得を課税標準として課税されます。
この所得は、基本的には法人税の課税標準である各事業年度の所得と同じです。しかし、大規模法人については、所得だけでなく、各事業年度の付加価値額や資本金等の額も課税標準として事業税が課されます。これを外形標準課税といいます。したがって、資本金が1億円を超えて大規模法人になると、赤字の事業年度においても事業税が課されることになります。
(*) 電気供給業、ガス供給業および保険業では、収入金額が課税標準となります。

 なお、資本金が1億円以下で所得に課税される法人でも、資本金が1千万円未満で事務所等が所在する道府県が2以下の法人については軽減税率が適用されます。

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