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雇用保険の対象者と失業手当の受給資格

 ここ数年間、雇用保険を短期雇用の人にも適用するような改正が行われてきました。短時間労働者や有期契約社員は、以前に較べると失業手当の受給資格が取得し易くなりました。一方で、自己都合退職の場合には受給資格を厳しくすることによって短期雇用を助長しないような改正もおこなわれました。
 失業に対するセーフティネットとしての役割が期待されるところですが、上記の改正によって、雇用保険が掛け捨てになるケースが増えた可能性もあります。

 以下では、平成22年度改正を踏まえて、雇用保険の適用対象者と、失業手当の受給資格要件を整理してみます。なお、このページでは、高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者については説明をしていません。

雇用保険の適用対象者

適用事業所

 雇用保険の適用は事業所単位ですが、基本的には、労働者を一人以上使用する事業所は労働保険の対象です。事業所が労働者を雇い入れた時点で、当然に適用事業所になりますが、手続き上は、所轄の公共職業安定所に適用事業所設置届を提出しなければなりません。

 例外として、個人経営で労働者が5人未満の農林水産業の事業所は任意適用です。任意適用事業所は、雇用保険の適用対象になる労働者の2分の1以上の同意により、または希望により、都道府県労働局の認可を受けて適用を受けます。

適用対象者(被保険者)

 雇用保険の適用対象者は、適用事業所に雇用される「労働者」です。ただし、一定の労働者は雇用保険法で適用が除外されています。

 「労働者」とは、労働基準法でいう労働者とされていますので、個人事業主、法人の代表者や監査役・監事は被保険者となりません。また、それ以外の法人の役員、家事使用人、事業主と同居の親族などは「原則として」被保険者になりません。

 逆に、パート・アルバイト、派遣労働者、休職中の人、在日外国人、国外就労者などであっても、雇用契約があって、適用除外に該当しなければ被保険者になります。

 雇用保険法で適用が除外されているのは、以下の労働者です。
  ① 65歳に達した日以後に雇用される人
  ② 所定労働時間が週20時間未満の人
  ③ 雇用期間が31日未満の人
  ④ 季節的に雇用される人で、
    雇用期間が4ヶ月以内であるか、または労働時間が週20時間以上30時間未満の人
  ⑤ 学生
(ただし、定時制の学生、休学中の学生、卒業予定で卒業後もその事業所に
    雇用される学生は除外されません。)

  ⑥ 船員保険の被保険者
  ⑦ 国や都道府県、市町村などの事業で、離職した場合に給付がある事業に雇用される人

 なお、日雇労働者は上記③に該当しますが、一定の条件を備えた日雇労働者は、別に「日雇労働被保険者」となって、雇用保険の対象になります。

 平成22年度改正では、上記③(雇用期間が「31日未満」)が法定されましたが、これについて行政手続きでは、『31日以上雇用が継続しないことが明確な場合に適用除外となるのであって、30日以下の雇用契約であっても更新しないことが明確な場合以外は雇用保険の被保険者となる』とされています。

加入手続

 被保険者となる労働者を雇用した事業主(会社)は、雇用した日の属する月の翌月10日までにハローワークに雇用保険被保険者資格取得届を提出し、資格所得確認を受けなければなりません。なお、被保険者でなくなったときは、その日の翌日から10日以内に資格喪失届と離職証明書を提出します。

失業手当の受給資格要件

 雇用保険の給付のうち、一般に失業手当といわれる「基本手当」は、受給資格を持っている人が、離職後にハローワークに行って「失業の認定」を受けた場合に支給されます。この受給資格を得るためには、どんな要件があるのでしょうか。

基本手当の受給資格

(通常の受給資格者)

 自己都合退職など通常の離職の場合は、離職の日からさかのぼって2年間に、「被保険者期間」が12ヶ月以上あるときに受給資格者になります。

 被保険者期間は、離職した日から1ヶ月ごとに区切った期間のうち、賃金支払基礎日数が11日以上あるものをひと月として数えます。例えば、7月15日に離職した人の場合は、6月16日~7月15日、5月16日~6月15日、4月16日~5月15日・・・というようにさかのぼって期間を区切り、このうち病気や欠勤で賃金を計算されなかった日を除いた賃金支払基礎日数が11日以上ある期間をひと月としてカウントします。

 さかのぼれる期間は最大2年間です。この期間中に一旦離職して、他の事業所に雇われた場合でも最初の離職時に受給資格が成立していなければ、被保険者期間を通算することができます。仮に、最初の離職時に受給資格が成立しており、次の事業所を短期間で離職してしまった場合には、被保険者期間は通算できませんので、最初の受給資格を生かすことになります。

 例外として、疾病、負傷その他省令で定める理由により連続して30日以上働けなかった期間がある場合には、2年間にその期間を加えた期間までさかのぼることができます。ただし、この場合でも、さかのぼれる期間は最大4年間です。

(特定受給資格者と特定理由離職者)

 会社の倒産や会社都合解雇等で離職した人を「特定受給資格者」といいます(雇用保険法23条2項)が、この特定受給資格者に該当する場合には、上記の「2年間」が「1年間」に、「12ヶ月」が「6ヶ月」になります。つまり、離職の日からさかのぼって1年間に被保険者期間が6ヶ月以上あればよいことになり、受給資格が取得しやすくなっています。そのほかに、後述する失業手当の支給制限に該当しない、正当な理由による離職者を「特定理由離職者」といいますが、これに該当する場合にも、特定受給資格者と同様の基準で受給資格が取得できます。

 特定受給資格者に該当するのは次の場合ですが、詳細な規定がありますので、具体的には労働局のホームページなどで調べるとよいでしょう。

(1)倒産等による離職
  倒産(破産、更生、再生、整理などの法的手続開始や手形取引停止など)、大量雇用変動、
  事業所の廃止、移転などにより離職した場合です。
 (2)解雇等による離職
  会社都合解雇、労働条件の著しい相違、賃金の遅配・減配、会社の法令違反・ハラスメント
  などがあった場合や、有期雇用契約が3年以上更新された後更新されなかった場合などで
  す。

 また、特定理由離職者とは、特定受給資格者に該当しませんが、正当な理由のある離職として救済される人で、次のような場合があります。

(1) 有期雇用契約で更新の可能性がある契約だったが、会社の都合で更新されなかった場合
(2) 正当な理由のある自己都合退職
  配偶者や扶養親族との同居のため、配偶者の転勤のため、結婚にともなう転居のため、介護その他の必要のため、心身の障害・疾病のためなどの場合です。ただし、基本手当受給のためには失業の認定が必要であることには注意が必要でしょう。

 離職の理由に関して、事業主(会社)と本人の判断が異なるケースがあります。この場合には、職安が双方の説明を聞いた上で離職理由の判定をおこないます。

失業手当の受給手続と給付制限

 失業手当は、受給資格者がハローワークで「失業の認定」を受けた場合に支給されますが、失業の認定を受けるためには、まず、離職後、ハローワークに行って離職票などを提出し、求職の申込みをします。そうしますと、ハローワークは受給資格者証を交付します。そして4週間ごとの失業認定日にハローワークに行って、受給資格者証を提示して職業の紹介を受け、失業の認定をうけると4週間分の失業手当が支給されます。

待機期間および給付制限

 失業手当は求職の申込みをした日から支給されるのではなく、待機という期間があり、さらに支給制限といって支給開始が延期されることがあります。

 まず、ハローワークに行って求職の申込みをした日から7日間は待機期間となり、8日目から支給されます。

 さらに、支給制限というものがあります。自己都合退職で特定理由離職者に該当しない場合や自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合は、原則として待機期間満了後さらに3ヶ月は失業手当が支給されません。自己都合退職の場合には、受給資格期間が12ヶ月と長い上に、支給制限もありますので、二重に制裁を受けることになります。必要以上に厳しい制度になっているともいえます。

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