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こばやしひでおのうんちく情報

児童手当拠出金は「子ども・子育て拠出金」になりました

 企業が毎月、年金事務所に徴収されている児童手当拠出金が平成27年4月から「子ども・子育て拠出金」という名称になりました。拠出金の金額は、平成24年度から厚生年金標準報酬月額の0.15%で変わっていませんが、これまで児童手当法という法律にもとづいて徴収されていたものが、現在は子ども・子育て支援法(平成24年8月成立、平成27年4月施行)という法律にもとづいて徴収されることになっています。

 従来から、会社員の子で3歳未満の子に支給される児童手当に使われていましたが、現在はこれに加えて、地域子ども子育て支援事業の資金(放課後児童クラブや児童館の拡充)にも使われています。

 子ども・子育て拠出金は、社会保険料と一緒に年金事務所(日本年金機構)が集めていますが、実態は社会保険料ではなくて、税金です。したがって、使い道も役所の意のままになっています。

平成24年度から現在までの児童手当

 児童手当は、民主党政権の目玉商品のひとつとして子ども手当という名称になりましたが、自民党、公明党との3党合意によって換骨奪胎され、平成24年度からは名称もまた児童手当にもどされてしまいました。また、支給対象者の所得制限が復活しました。所得制限は平成24年6月分から適用されていますが、夫婦子供2人では給与収入が960万円以上になると所得制限に引っかかります。

 なお、平成23年から所得税の扶養控除がカットされて、中学生以下の子どもに扶養控除がなくなりましたので、その扶養控除廃止のデメリットを補うため、当面の間、所得制限にかかる世帯には特例給付として子供1人5,000円が支給されることになっています。

 子ども子育て拠出金は、社会保険に加入している企業から徴収していますので、会社員の子で3歳未満の子に支給される児童手当15,000円のうち7,000円(15分の7)に充てられるという建前になっています。児童手当のこれ以外の財源には、国や地方自治体の社会保障費が使われています。

児童手当と子ども手当の比較
児童手当子ども手当児童手当
H21年度以前H22・H23年度前半H23年度後半H24年度
3歳未満10,000円13,000円15,000円15,000円
3歳~小学生第1子、第2子5,000円13,000円10,000円10,000円
第3子から10,000円13,000円15,000円15,000円
中学生13,000円10,000円10,000円
所得制限ありなしなしあり

平成22年度の子ども手当

 民主党政権も遠い過去のことの様ですが、さかのぼってみますと民主党が政権を取った後の平成22年度に児童手当が拡充されて子ども手当になりました。ゼロ歳から中学校修了までの子どもを養育する父母(または養育者)に、子ども一人当たり月額13.000円を、市(区)町村を通じて支給されました。平成21年度までの児童手当の財源と仕組みをそのまま取り込んだ上で、対象者と支給金額を拡大しました。

 従来の児童手当は、小学生以下の子供を育てる親(または養育者)に、子供1人目と2人目は月額5,000円(3歳未満は10,000円)、3人目以降は月額10,000円支給されていました。所得制限があり、所得の高い親には支給がありませんでした。所得制限の額は、例えば扶養家族2人の会社員の場合で年間所得608万円、年収ベースでは約809万円でした。

 したがって、子ども手当を児童手当と比較すると、①支給額の5,000円または10,000円が13,000円に増額され、②対象になる子どもが中学生にまで拡大され、③所得制限が撤廃された、というように拡充されました。

平成23年度の子ども手当

 平成23年度は、3歳未満の子どもについて20,000円に増額する法律案が出されましたが、自民党など野党の反対にあって成立せず、すったもんだの末、9月までの6ヶ月間について平成22年度の法律を延長することとされました。

 さらに、平成23年度後半(10月~3月)については、8月のいわゆる「3党合意」に基づく「平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法」という法律によって支給されることになりました。金額は3歳未満の子どもに15,000円、3歳から小学生までは第1子と第2子に10,000円、第3子から15,000円、そして中学生に10,000円となりました。

 結局、支給額は平成21年度以前の児童手当に5,000円上積みし、中学生まで対象を広げたものになっています。なお、この間に所得税の扶養控除が変更されて、平成23年分から中学生以下の扶養控除がなくなっています。

 これが、過去の顛末です。

子ども・子育て拠出金の本質は社会保障目的税です

 年金事務所が徴収する子ども・子育て拠出金は、上記のように、「児童手当の事業主負担分」と「地域子育て支援事業」とに使われています。国の特別会計に集めた上で、国からの交付分と一緒に市(区)町村に交付されます。

 児童手当については、3歳未満の子どもに支給される児童手当で、健康保険に入っている父母等に支給される額のうち、月額7,000円の部分を子ども・子育て拠出金から支払うこととされています。

 実際、この前提で子ども・子育て拠出金から市(区)町村に交付する金額を計算していますので、そのために、会社員の父母等が市町村に子ども手当の請求をするときには、健康保険証を提示することになっています。

 子ども・子育て拠出金は、負担している企業と受給者の間に直接の関連性がなく、保険給付というよりは所得の移転です。そして、毎年度の支給に必要な額を計算して、これを厚生年金加入者全員の標準報酬額で割って料率を決めているのが実態ですから、平成24年度に料率が0.13%から0.15%に引き上げられたのは、主として、厚生年金加入者の給料が下がったためだと考えられます。現在は、子ども・子育て支援事業の財源にもなっていますから、気がつかないうちにまた引き上げられていた、ということもあり得ます。こうしてみると子ども・子育て拠出金は、社会保険料ではなく社会保障目的税というべきものです。

 (これは、平成28年3月に書きました。)

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