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年金制度のここが問題②・・・第3号被保険者

国民年金の第3号被保険者というのは、厚生年金や共済年金(注)を通じて国民年金に加入している人(第2号被保険者)の被扶養配偶者です。この人たちは、保険料を支払わなくても被保険者になっていますので、その期間を含めて25年間の被保険者期間を満たすと老齢基礎年金の受給権を取得できます。 2013年2月に第3号被保険者は961万人いましたが、このうち98.8%は女性でした。この制度は実質的にサラリーマンの妻である人を対象とした制度です。

この仕組みは1986年4月の国民年金大改正でつくられました。それ以前は厚生年金被保険者の配偶者の国民年金は任意加入で、自分で保険料を支払う仕組みでした。国民年金に任意加入していない妻には自分の年金がありませんでしたから、任意加入していなかった妻が離婚すると、無年金になってしまうといった問題がありました。

一方で、夫の厚生年金は夫婦二人分の年金額を支給するように設計されていましたので、妻が国民年金に任意加入していると、保険料も年金も金額的には重複していました。

そこで、夫の厚生年金の定額部分と加給加算部分をふたつに分けて、夫と妻の基礎年金にする方法で、現在の仕組みをつくりました。これによって専業主婦であった女性の老後の生活が最低限守られることになったわけです。

この第3号被保険者という制度は、上記のような問題点を解決し、女性にとっては朗報となったわけですが、同時にいくつかの問題をはらんでいるものでした。

その第一は、単身世帯や共働き世帯と比較したときの負担と給付の不公平です。共働きで夫婦とも厚生年金に加入している場合はそれぞれ保険料を払うのに、専業主婦の世帯では夫ひとりの保険料でふたり分の基礎年金がもらえますから、専業主婦を優遇しすぎているのではないかということです。

第二は、自営業者など第1号被保険者の配偶者との格差です。第1号被保険者の配偶者は自分自身も第1号被保険者ですから、自分で保険料を負担しないと年金がもらえません。この問題は、国民年金の保険料をさらに引き上げようとするとさらに大きな問題になります。

第三は、この制度が女性のパートタイム労働や男女の賃金格差を助長する結果になっているのではないかということです。就業時間が通常の所定労働時間の4分の3以上の人は厚生年金に入らなければなりません。また、自分の年収が130万円を超えると夫の被扶養配偶者になれません。つまり、週に約30時間以上働くと自らが厚生年金の被保険者になり、週30時間未満で年収130万円を超えると厚生年金にも入れず第3号被保険者にもなれませんから、自分で国民年金の第1号被保険者にならなければなりません。このデメリット(保険料負担)を考えて、パートタイマーになっている人や時給が低くても我慢している人がいます。130万円の壁などといわれます

仮に、第3号被保険者にも保険料を負担してもらう場合には、それを夫の会社が負担するのか、夫または本人が負担するのかという問題があります。

また、女性は出産とか育児のために職につけない期間がありますから、どういう制度にするにしても、出産育児期間について保険料を免除する制度が必要です。

この問題を解決する方法は

  1. 厚生年金の被保険者に被扶養配偶者の保険料を負担してもらうこと
  2. パートタイマーも厚生年金の対象にすること
  3. 国民年金の第1号被保険者にも同じ選択肢をあたえること
  4. 出産・育児期間の保険料を免除すること

これらを同時に制度化する必要があります。さらに言いますと、自営業者の保険料も所得比例にすることが必要になってきます。具体論としてはどれも非常に厳しい線引きが必要な課題です。

これらを考えますと、国民年金制度そのものを根本的に見直す必要があることがわかります。

(注)以下では、厚生年金というときには、共済年金を含むものとします。

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