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年金制度のここが問題①・・・基礎年金拠出金

 現在の公的年金の制度は昭和61年4月にできあがったものですが、よく言われるように、 国民年金と厚生年金(あるいは共済年金)との二階建てになっています。 1階部分の国民年金は全国民が対象で、支給される年金は基礎年金といわれます。これに、2階部分として企業の従業員を対象とする厚生年金や公務員などを対象とする共済年金が 上乗せされるという仕組みになっています(以下で厚生年金というときは共済年金を含むものとします)。保険料の負担の方は、自営業者など国民年金加入者(第1号被保険者)は月額14,660円(H21年4月からH22年3月)という定額保険料を支払い、厚生年金を通じて国民年金の被保険者となっている人(第2号被保険者)は、厚生年金の保険料だけ払うと、自動的に国民年金保険料も支払ったことになるという仕組みです。さらに、第2号被保険者の配偶者は、国民年金の第3号被保険者ということで、保険料を支払わなくても基礎年金が受けられます。

 平成20年3月末の被保険者数は、第1号が2,035万人、第2号が3,914人、第3号が1,063万人の合計7,021 万人でした。一方、基礎年金の受給権者は合計2,601万人でした。

 国民年金はいわゆる賦課型の年金ですので、基本的にはその年に支払われた保険料が年金の原資となります。つまり、国民年金保険料と厚生年金・共済年金保険料の一部が基礎年金に充当されるわけですが、各年金から基礎年金のために 拠出する資金を基礎年金拠出金と呼んでいます。基礎年金制度というのは、実は必要な支給額を計算して、その負担額を、財政 (国庫)と、国民年金、厚生年金、共済年金に割り振って基礎年金拠出金という奉加帳をまわすという計算制度(勘定)なのです。そしてその勘定の仕組みは概ね次のようになっています。

 まず、基礎年金の給付に必要な費用の総額を計算し、その3分の1を国庫負担とします(注)。残りの金額を、国 民年金第1号被保険者と第2号及び第3号被保険者で人数割りして、国民年金および厚生年金・共済組合それぞれの負担額(基礎年金拠出金)を決めます。このときに、第1号被保険者のうち、保険料を免除されている人(免除者)と払っていない人(未納者)は人数から除外して計算します。この結果、平成19年度分では、基礎年金と旧国民年金の給付額から国庫負担を除いた10.8兆円に対して、 国民年金勘定から2.2兆円、厚生年金・共済年金勘定から合計8.6兆円が拠出されています。厚生年金についてみると、 基礎年金拠出金は運用収入も含めた平成19年度の総収入(国庫からの繰入を除く。)の24.1%に達しています。なお、国民年金制度を運営するための事務費用 は全額国庫負担としています。

 この仕組みは、極めて単純で、いわば巨大な「どんぶり勘定」ですが、現在の公的年金がおかれている環境に則して考えると、いくつかの大きな問題を持っています。

 第一には、国民年金の未納者・免除者が増えると、その負担は厚生年金にしわよせされる、ということです。第1号被保険者2,035万人のうち免除者、未納者は合わせて623万人もいます。30%です。国民年金が実質的に希望者の任意加 入になってしまい、そのツケが、厚生年金にまわされていることは、厚生年金の保険料を払っている人にとってはどうみても納得のいかないことです。

 第二には、保険料の問題があります。国民年金保険料は定額で、厚生年金保険料は報酬比例であるのに、結果として基礎年金は人数割りの「割り勘」というのは首を傾げたくなります。厚生年金保険料を支払う立場から見ると、どこまでが1階部分の家賃で、どこからが2階部分の家賃なのかはっきりして欲しい、という気持ちになります。逆に、厚生年金の被保険者の中でもいちばん標準報酬の少ない人の保険料は、事業主負担を含めて国民年金保険料と同額ですから、1階建ての家賃で2階建ての家に住んでいることになります。パートタイムの人も厚生年金に加入させようという動きになっていますが、そうなりますとこの点がクローズアップされてきます。

 第三には、上記の点とも重なりますが、負担と給付の関係が明確でないことです。現在の制度を前提にして、年齢と標準報酬を与えると、負担と給付の比率(給付倍率といわれます)は計算できますが、毎年自分の払った保険料がどのように使われ、どのように積み立てられているかはわかりません。そうこうするうちに、制度が変わって、保険料があがり、給付が削減されると、結局割を食っているのではないかという不信感だけが残るのではないでしょうか。

 公的年金制度は、全体としてもう少し納得性のある制度に作り変えていく必要があります。

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