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こばやしひでおのうんちく情報

成果主義のここが問題

 成果主義は、企業の成長鈍化、定年の延長、就業人口の高齢化に対応し、「年功序列的な処遇制度」に代わるものとして多くの企業で採用されている考え方ですが、次のような誤った前提にもとづいて導入された場合には、弊害が多く、企業にとって取り返しのつかない大惨事になりかねません。

給料のために働いているという前提

 人は報酬を得るために働いているのかと問われれば、答えはイエスでもあり、ノーでもあります。働いたことに対して報酬を得たいと思うのは当然です。しかし、報酬がもらえるから働いているのかというと、多くの人はそうではないというでしょう。つまり、報酬は、働くための必要条件でありますが、充分条件ではありません。

 成果主義の前提は、人はより多くの報酬を得るために働いている、あるいはより多くの報酬を提示すればさらに一生懸命はたらくということです。しかし、これは正しい前提ではありません。ある程度の収入があるひとにとっては、給料が少し増えるかどうかはそれほど大きな動機づけにはなりません。また、達成意欲の強いひとは、報酬のような外的な動機づけがあると、かえってパフォーマンスが落ちるということが実証分析で示されています。それは、報酬のもたらす統制的側面が機能して、内的動機付けが損なわれるからである、と理解されています。つまり、報酬を得るために働くようになり、仕事自体の面白さが感じられなくなるということです。

 実績をあげたひとにより多くの報酬を出すという仕組み自体は大変結構だと思います。しかし、経営者やうかつな管理者が、ときとして、「彼は給料をたくさん出しているからもっと仕事をすべきである」とか、「彼女は給料に見合った仕事をしていない」という言動をすることがありますが、これは非常なマイナスです。社員の士気を落とす結果になることが多いと思われます。

成果は計測できるという前提

 成果を計測することは困難です。異なる部門で、異なる課題を負っている社員の成果を公平に、納得できる形で計測できるというのは幻想でしょう。不十分なかたちで計測した「成果」をもとに報酬を決定するのは弊害が大きすぎます。

 社員の士気を高めるための最も重要な要件は公平感です。これを阻害する制度を導入すると、社員は自分の利益だけを考えて行動するようになります。

 成果を測定する代わりに、目標管理制度を導入して、目標達成度を基準として報酬を決めようとするのは最悪といえます。目標管理制度と報酬を結びつけると、社員はフルパワーで働くよりも、できそうな目標を設定してこれをクリアするという行動に出るのは当たり前でしょう。社員は、自己実現のために目標設定するのではなく、報酬を多くするために目標設定をせざるをえなくなるからです。

給料は購買力であるという認識

 「お客様がいるから会社は給料を払うことができる。給料を払えるから君の家族はいい暮らしができる。だから、お客様に感謝しなければならない」ということをおっしゃる社長がいました。こういわれると何となくイヤーな気分になります。自分の仕事に対して誇りをもてなくなってきます。経営者は、社員の給料は購買力であるという認識から脱却しなければなりません。

 会社がいいサービスを提供できているからお客様は満足してくれる。だからウチの会社はいい会社で評判がいい。これは社員のやる気につながります。

 給料は社員へのメッセージであると考えましょう。定期的に社員の職務能力を評価し、処遇を決めます。決定された給料(基本給)は社員の能力に対する期待値として社員に伝えます。そして、次のときまで給料のことは忘れましょう。

 普通、人の能力は一朝一夕に増えたり減ったりしないはずですから、給料もそれに見合って長期的に変動すべきものと思われます。

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